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札幌国際芸術祭2017年 ここが見どころ!中島洋 ~私のお薦め [8] 狸小路TV
2017年7月21日 北海道新聞 夕刊
札幌国際芸術祭2017年
ここが見どころ!中島洋 ~私のお薦め [8]
狸小路TV
=狸小路商店街 新旧両面から映像を探る
_今回のSIAFは、狸小路が会場の一つとなります。空き店舗も少なく、毎日がお祭りのような賑やかな商店街を芸術祭の舞台にするのは難しい相談でした。仲間と議論を重ね、私の専門でもある「映像」、黎明期のテレビ(TV)をテーマに決めました。
_きっかけは、大友良英芸術監督の「かつて使われていたけど捨てられてしまったものたちの再生」という言葉です。映画とは違い、TV番組は放送されたその時代、その一瞬で忘れられることが多い。1960、70年代は道内ローカル局でも、高く評価されたドラマが数多くありましたが、その後再放送もなく、ほとんど視聴されず、埋もれていました。そこで今回、TVの青春期ともいえる時代に焦点を当てた企画を行います。
_札幌プラザ2・5(中央区南2西5)で8月20日(日)には「テレビマンユニオン」創始者の一人、夕張育ちの今野勉さんをゲストに、今野さん制作の「七人の刑事」(67年)や「遠くへ行きたい」(73年)を上映。9月17日(日)は、映画監督の是枝裕和さん、元HBC社長で前札幌ドーム社長、長沼修さんらをゲストに、札幌五輪前夜を舞台にした「風船のあがる時」(72年)などを放映します。真駒内競技場、地下街、駅前通り、ススキノ、狸小路などを舞台に、ローカリズムが普遍性を獲得した好例といえる番組を紹介します。
_また、商店街の12店にTVを設置し、芸術祭の他会場の様子を映し出します。特設の「狸小路スタジオ」(南2西4)からも、ほぼ毎晩、番組を発信。懐かしいローカルCMや芸術祭の紹介などの番組を、12店のTVと狸小路の街頭ビジョンに流します。OYOYO会場(南1西6)からも「TVはどうなる」と銘打った番組を流す予定です。昔と現在、アナログとデジタルという両面から、新しい映像表現の視点を発見したいと思います。
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なかじま・よう 1950年、山口県下関生まれ。北大除籍後、札幌で映像の自主制作、自主上映を始め、「駅裏八号倉庫」「イメージガリレオ」など文化の場つくりに関わる。92年から市民出資映画館シアターキノ代表。