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映画、音楽、インタラクティブ 最先端の熱気体験
2016年4月22日 北海道新聞
映画、音楽、インタラクティブ 最先端の熱気体感
米国南部のテキサス州オースティン市で毎年3月に開催されている国際的な複合イベント、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)に参加した。今年10月10~16日に札幌でプレ開催する複合イベント「No Maps(ノーマップス)」の実行委メンバーが中心で、No Mapsのプロモーション(宣伝)と同時に、この場で肌で感じたことを10月に生かすことが目的だ。
(No Maps 実行委副委員長 山岸正美)
世界から20万人
SXSWは、世界から注目される大規模なイベントだ。「映画」「音楽」「インタラクティブ(双方向の意味、最先端のITなど)」が大きな柱で、10日間の期間中に約20万人がやってくる。今年は30回の節目で3月11~20日に開催。基調講演にはオバマ米大統領夫妻も登場し、街中が興奮しているようだった。
小さな企業や個人のクリエーターでも一気に知名度を上げることができるのがこのイベントの魅力だ。メイン会場であるオースティン・コンベンションセンターの見本市は13日に始まり、今年は295の企業などが出展。日本からは「No Maps」をはじめ、40以上の企業・学校などがブースを出した。この中で絶えず人が集まっていたのは、東京が本社の企業による甲冑姿の人口知能対話ロボット「AI-Samurai」だ。また、バッテリー駆動の持ち運び可能なDJマシン「GO-DJ」も展示されていた。このマシンは仙台のベンチャー企業が開発し、2013年のSXSWで展示したことが米の音響メーカーとの契約、販売につながったという。286グラムと超軽量で、首から下げ、実演しながら歩いているのを見て、私も欲しくなった。
有名な初音ミク
No Mapsのブースには13~16日の間に4250人が訪れ、商談件数も500件に及んだ。初開催の複合イベントに興味を示してもらったのは大きな収穫だ。実行委員長であるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長は初音ミクファンに囲まれ、「今年の10月、札幌で会いましょう」と呼びかけると、喝采を浴びた。改めて初音ミクの知名度の高さに驚いた。
映画祭では短編、長編合わせて250本以上を上映。全編をスマートフォン「iPhone(アイフォーン)6s」の4K動画で撮った「9 Rides」など、話題の作品も多い。基調講演ではスターウォーズの新作を手掛けたJ・J・エイブラムスらが登場した。日本関連では「X JAPAN」のドキュメンタリー映画「We Are X」が世界プレミア上映。18日にはYOSHIKIのパフォーマンスもあり、大きな話題になった。
音楽祭では、5日間で2200以上のライブなどが行われ、街中が音楽であふれた。歴史的な6thストリートは、毎夜身動きも大変なぐらい混み合い、ライブハウスはもちろん、通りでもパフォーマーが思い思いに音楽を楽しんでいたのが印象的だった。日本からも「水曜日のカンパネラ」「[Alexandros](アレキサンドロス)」などの若手人気グループが登場し、注目を集めていた。
10月への刺激に
SXSWに参加したことは大きな刺激になった。この経験を参考にしながらもひと味違うクリエーティブなコンベンション(催し)を札幌でつくり上げたい。北大や札幌市立大など道内の学校をはじめ、IT企業や映像クリエーター、インディーズバンドなどがスタートアップ(起動)できる場として、参加メンバー一同がNo Mapsを成功させる決意を新たにした。
やまぎし・まさみ 1950年紋別生まれ、札幌在住。イベントプロデューサー。デザインプロダクションの株式会社マーケティング・コミュニケーション・エルグ会長。札幌国際短編映画祭実行委員長を経て、No Mapsの実行委副委員長に就任。