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全国映画よもやま話

不良集めた異色作「よくぞGP選出」 ゆうばり映画祭・小林監督

2016年2月29日 朝日新聞 朝刊

不良集めた異色作「よくぞGP選出」

ゆうばり映画祭・小林監督

 

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」(朝日新聞北海道支社など特別後援)は28日、各賞の授賞式があった。オフシアター・コンペティション部門のグランプリは、役者ではなく本物の不良を集め、ゲリラ撮影も駆使した異色作だった。

グランプリの「孤高の遠吠(とおぼえ)」は、原付きバイクにあこがれる少年4人が、暴力と理不尽が渦巻く世界に巻き込まれていく姿を描いた。小林勇貴監督は「賞を出しにくい映画を、よくぞ選んでくれたと感謝します。どんなにひどい目にあっても、『バイクで走りたい』という思いを貫く少年の心を伝えたかった。副賞の200万円は、ノーギャラで協力してくれた不良たちに少しお礼をして、次回作の不良映画に役立てます」と語った。

審査委員長を務めた脚本家・映画監督の柏原寛司さんは「既製の映画にはない素の魅力があった。粗削りだが、様々な『大人の事情』があるプロには絶対撮れない作品。映画にとって不良ものは原点のひとつであり、普遍的な分野でもある。忘れていたむこうみずな青春を取り戻した気分になった」と評した。

審査員特別賞は、高校3年生の松本花奈(18)が監督した「脱脱脱脱17(ダダダダ・セブンティーン)」、北海道知事賞には韓国のソ・ジェイク監督の「親切ですね」、シネガーアワード(批評家賞)には「バイバイ、おっぱい」(鋤崎智哉監督)が受賞した。インターナショナル・ショートフィルム部門では、石谷恵監督の「かたすみの鱗(うろこ)」が受賞した。

映画祭は、29日にグランプリ2作品を上映して閉幕する。

(山内浩司)