初日4/5(土)ゲストトーク決定!
馬と共に汗を流し農業に勤しんだ時代、結婚式は農閑期の冬に行われていた。北海道·十勝に暮らす一家の長女“一子”が同じ集落に住む“豊”に惹かれ、結婚に至
るまでの暮らしを、農村の情景と織り交ぜ描写した『馬橇の花嫁』は、写真を一枚一枚繋ぐように精粋だ。馬とどんころによる豆おとし、青年団の酒盛り、相撲大会や盆踊り…昭和30年代前半の十勝の風景が繊細なモノクロ映像で甦る。
前作「リトルサーカス」(第24回上海国際映画祭金爵賞入選)をカンボジアで撮り上げた逢坂芳郎監督は、この映画のために故郷·十勝へ住居を移し制作に臨んだ。北海道の役者が脇を固め、多くの地元の人々がスタッフとして参加·協力し、約70年前の農村の景色を再現している。主題歌は、紅白歌合戦7回出場を誇る大津美子の名曲「ここに幸あり」(昭和31年)。当時18歳の大津美子の透き通った歌声と芯のある歌詞が花嫁の心情に鮮やかに重なる。
河﨑秋子(小説家「ともぐい」)
土と雪に生きる人々と、当たり前のようにそこにいた馬。
温もりと誠実さが静謐な画面から立ち昇る。
福永壮志(映画監督『アイヌモシㇼ』)
懐かしく感じる人の営みと風景。
当たり前の日常が、この上なく豊かに思えた。