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世界の仲間と「チャランケ」し、先進国に発信を
「先住民族サミット」開催


NPO法人北海道コミュニティシネマ・札幌では、G8サミットが北海道で開催される機会に、私たちも北海道に住む者の一人として、先住民族の叡智と地球を考える「08サミット先住民族・環境映画祭」を開催します。

6/14(土)〜 『earth アース』
6/28(土)〜7/5(土) 『earth アース』+映画祭
6/28(土)には、「先住民族の映像」と題したシンポジウムも上映後に催します。
パネラーは、以下の方々を予定しています。

結城幸司(アイヌアートプロジェクト代表、「先住民族サミット」実行委員会事務局長)
スティーブン・ケント(マオリ・ナイタフ族教育者)

それでは、パネラーの一人でもある結城幸司さんの講演記録(北海道新聞4/27朝刊より転載)をご覧下さい。 

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まず「先住民族サミット・アイヌモシリ2008」実行委員会では話し合うことを大切にしています。アイヌ民族には何事もみんなで話し合って決める「チャランケ」という文化があり、これに従って進めてきました。

 世界十数カ国の先住民族が参加する先住民族サミットは7月1―4日、日高管内平取町と札幌市で開かれます。初日はフィリピンの先住民族の方たちが基調講演し、二日目は平取ダムの建設予定地などを回り、その意味を考えます。3日目は札幌市南区のピリカコタンで交流会。最終日は先住民族宣言を行い、音楽祭で締めくくる予定です。

 音楽祭では、私が代表を務める「アイヌ・アート・プロジェクト」など現代風のアイヌ音楽を発信するミュージシャンのほか、かつて「ルナシー」というロックバンドでギタリストだったSUGIZO(スギゾウ)さんも出演してくれそうです。最後は参加者が大きな輪になって踊り、フィナーレを迎えたいと考えています。すべて無料です。

 目的は、アイヌをはじめとした先住民族の声を北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)に向けて発信することです。

 僕たちの生きるアイヌの世界はあやふやで、自分たちのことを子供たちに伝えたくないという人もいます。しかし、子供たちのためにもアイヌをもっと理解してもらわないといけない、というのが先住民族サミットを開催しようと思った背景にあります。

 道内ではアイヌについて知ろうとしない環境があります。小学四年生向けに社会科の副読本が発行されているけど、ほとんどの学校で本が開かれることはありません。無理解こそ一番の暴力です。これを変えていきたいと思っています。

 国連が先住民族の権利宣言を昨年9月13日に採択し、日本も賛成しました。僕はすごく興奮し、涙が出そうなくらいうれしかった。

 にもかかわらず、福田康夫首相は「(アイヌ民族が)宣言に言う先住民であるかについては、結論を下せる状況にない」と発言し、とても悲しくなりました。これまでもウタリ協会は頑張ってきたのですが、これからは草の根の活動も、幅広く取り組んでいかなくてはいけないと思いました。

 先住民族サミットには、三つの柱があります。いずれも根っこでつながっていますが、自然環境・教育・権利回復です。
自然環境については、僕らは自然がないと祈りが始まりません。自然があってこそ、アイヌは成り立つのです。そこで、こうした自然を大切にする僕たちの精神文化が自然を守るのに有効に働くと考えるのです。
教育も大事です。子供たちのことを考えると、海外の先住民族に「7代先を考える」という言葉がありますが、先のことを想像する文化はすばらしいと思います。そこを考えた教育をすれば、壊された自然ももとに戻すことができるはずです。
1997年に制定されたアイヌ文化振興法は、権利回復とはほど遠く、あまり評価されていません。ただ、若い人が海外の先住民族と交流するため、海外に行けるようになったのは良かったと思います。アイヌは差別によるストレスで、家庭内暴力を起こしたり、酒におぼれたりするケースが少なくありません。子供たちもアイヌと表現しづらくて、生きづらかった。そんな中、今の若い人たちは世界の先住民族とつながることで、大きな影響を受けています。先住民族サミットで海外の先住民族に恩返しをしたいと思っています。
先住民族サミットでは最後に、それぞれの発言を宣言にまとめます。どこまで先進国の首脳が受け入れるか分かりませんが、先進国は僕らの歴史をないがしろにしようとしているところもあるので、僕はこれからのサミットにずっと、つきまとってやろうと思っています。
先住民族サミットを通じて、心のある話し合いをしたい。みんなが心を取り戻し、互いの心を知ることで、本当のアイヌ民族としてのビジョンを手に入れたいと考えています。サミットは到達点ではなく、ドアだと思います。これからみなさんと語り合いが始まるきっかけなんです。アイヌ民族、そして先住民族が少しずつ本来の姿に戻ることができれば、(到達点に向け)折り返すことができると考えています。

●結城幸司(ゆうき・こうじ)
1964年、釧路市で生まれ、7歳から神奈川県で育った。2000年にアイヌ民族の芸術家集団「アイヌ・アート・プロジェクト」を札幌で設立し、代表を務める。札幌市在住。