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北海道新聞9月12日朝刊より

札幌短編映画祭
入場、予想超え7200人
実行委「映像ビジネスに道」

第1回札幌国際短編映画祭「SAPPOROショートフェスト」の実行委員会(山岸正美委員長)は11日、5日間にわたって開催し、10日閉幕した同映画祭の動員数をまとめた。メーン会場の札幌東宝プラザ(中央区南2西5)の入場者数は約7200人で、実行委の当初目標の6000人を20%上回った。
 東宝プラザでは70カ国から約1800本寄せられた作品のうち、作品部門と監督・制作者部門でノミネートした計97本を13のプログラムに分けて各2回上映した。韓国の音楽ビデオなどを扱う特別プログラムも行った。最も人気が高かったのは最終日、グランプリなど各賞受賞作品21本を上映した「アワードプレミアム」で、1回の入場者数は400人を超えた。このほか、第2会場のシアターキノでは10回の上映で約520人が鑑賞した。
 会場のある狸小路商店街では、「SAPPOROショートフェスト」の垂れ幕を全商店の看板に下げるなど、PRに協力。実行委は「従来、短編映像に興味がなかった人たちも足を向けてくれた」と喜ぶ。
 今回はアジアでは初めてとなる本格的な短編映像マーケットも開設。各日とも30人前後の入場があった。実際の売買はこれからだが、実行委は「すでに複数の契約話が動き出しており、映像ビジネスの創造の場づくりに一定の道は切り開けたのでは」と話している。                  

 

完成度高く 盛況
札幌国際短編映画祭

9月上旬、札幌市内で開催された第一回札幌国際短編映画祭は約七千二百人が入場する盛況となった。一回目ながらも完成度の高い作品が多く寄せられ、国籍やテーマ、表現ジャンルなど多種多彩な百本以上の短編映像作品が上映された。グランプリ受賞作など上映作品のいくつかを紹介する。(山本孝人)

グランプリ、監督賞、俳優賞など二十一の賞を六人の審査員が合議で運考した。数が多く、質の高い作品そろいで難しかったと審査員の一人のピーター・バラカンさん。「短編の場合、作者の伝えたいことがきちんとあることが重要」。その条件を満たしているかが審査のポイントという。

作品部門グランプリは「メカニカル」(オーストラリア、リオン・フォード監督、9分)。一人の男性が朝起きて出勤するまで、日常周囲にある水道やラジオ、冷蔵庫、トースターなどを壁の裏で数人が手動で支えているという設定のコメディー。「目に見えないものの存在」を端的に表現した短編らしさが評価された。

監督賞は「サイド・ウォールス」(アルゼンチン、グスタフォ・タレート監督、28分)。ブエノスアイレスの片隅で同じようなアパートにそれぞれ暮らす二人の男女を取り上げ、世界の大都市に暮らす人々に共通する孤独や不安を描いたドラマ。「孤立」「疎外感」などのテーマを、それを乱立するビルの光景などで表現した手法のバランスが評価された。

複数の作品を通して一人の作家を評価するフィルムメーカー部門グランプリは英国のダニエル・マロイ監督が受賞。脚本、監督、撮影、編集などすべての面で完成度の高さが評価された。

メディアとしての映像の役割を示したのが実験映画賞の「フリー・スピーチ・ゾーン」(米、カスミ・エックス監督、18分)。ニュースや過去の記録映像をサンプリングして処理を施し編集する手法で、第二次世界大戦中のナチスにたとえてブッシュ米大統領を強烈に批判した内容。二〇〇四年の大統領選前、キャンペーンCM用に三十秒版を作ったが放映を拒否されたという。「企業に支配されているメディアが報じないものを伝えたかった」とエックス。

寓話の世界を作り上げたのが無声映画賞の「渇いた大地」(ウクライナ、タラス・トメンコ監督、25分)。荒野で天使を捕まえた男が、それを見せ物に荒稼ぎする。幻想的な風景のなかで人間の欲望や愚かさがコミカルに描かれる。

受賞作品ではないが「ちいさなビンタ」(スペィン、ハビエル・フェサー監督、30分)は登場する子供たちが魅力的。西アフリアのセネガルの村の少女ビンタを主人公に学校生活、漁師の父親など日常生活の一こまが描かれる。サリフ・ケイタの音楽などがバックに流れ、遊ぴ、踊る子供たちの姿が生き生きと描かれている。
全体としては成功した映画祭だが、一点、ホテルで関係者だけを招いたパーティーでの受賞作発表という方法は疑問がある。関心を寄せて劇場に足を運んだ一般観客が受賞作を知る機会が遅れ、限られた。作家にとっても観客の生の反応に触れる貴重な機会でもあり、観客が席を埋めた劇場での発表が自然だ。次回以降、工夫が必要だろう。

これらの各賞の受賞作、上映作品の概要などは同映画祭のホームページで紹介されている。http://www.sapporoshortfest.jp/